「女子をこじらせて」の雨宮まみによるエッセイを「サプリ」のおかざき真里が漫画化し共感を呼んだ伝説的コミックを原作とする本作。女性たちのリアルな姿をコミカルにポップに毒々しく、そして優しい視点によって映し出す。主演は「M 愛すべき人がいて」での怪演ぶりが話題となり、以降様々な作品で女性の本音をリアルに表現してきた田中みな実。初主演となる本作では、立ちはだかる現実に苦しみ、揺れる30代の独身女性を等身大で演じている。脇を固めるのは数多くの作品で唯一無二の存在感を放つ市川実和子、邦画には欠かせない名バイプレイヤーの徳永えり。さらに、乃木坂46を卒業したばかりの松村沙友理が、新たな表情や体当たりの演技を披露している。そんな彼女たちの心情を生々しく切り取り、鮮やかなエンタメに昇華させたのは、『おいしい家族』『君が世界のはじまり』のふくだももこ。現代を生き抜く女性たちの本音を描き、観る人の背中をそっと押してくれる共感ムービーが誕生した。
10年前に執筆したエッセイから一躍有名作家となった本田まみ(田中みな実)、36歳、独身。自立した女性の幸せの価値を赤裸々に綴り、読者の支持を得たが、それに次ぐヒット作を書けずにいる。仕事にやりがいを感じながらも目下迷走中のまみは、自身の年齢に対して事あるごとに周囲から「ずっと独身でいるつもり?」と心配されている。一方、まみが出演する配信番組をきっかけに交錯する女性たち―まみの書いたエッセイを支えに自立した生き方を貫く由紀乃(市川実和子)、"なんちゃってイクメン"の夫への小さな不満を抱えながらインスタ主婦を続ける彩佳(徳永えり)、パパ活女子として生計をたてつつも、若さを失うことに怯える美穂(松村沙友理)。それぞれの異なる生きづらさを抱える4人が踏み出した小さな一歩とは?
1986年生まれ。アナウンサーとして2009年にTBSに入社、退社後はフリーアナウンサー、モデルとして女性誌で幅広く活躍。初の写真集「Sincerely yours...」は60万部を超えるヒットとなり宝島社の写真集の歴代1位となった。俳優としては「絶対正義」(19/THK・CX)への出演を皮切りに「M 愛すべき人がいて」(20/EX)、「生きるとか死ぬとか父親とか」(21/TX)、「ボクの殺意が恋をした」(21/NTV)、映画『マスカレード・ナイト』(21/鈴木雅之監督) に出演。本作が映画初主演となる。
1976年生まれ。ファッションモデルとしてデビュー「an・an」「CUTiE」などで活躍。00年、『アナザヘヴン』(飯田譲治監督)で女優デビュー。田口ランディ原作『コンセント』(02/中原俊監督)で映画初主演。そのほか出演作に『リリイ・シュシュのすべて』(01/岩井俊二監督)、『イン・ザ・プール』(05/三木聡監督)、『悪夢探偵2』(08/塚本晋也監督)、『余命』(09/生野慈朗監督)、『八日目の蝉』(11/成島出監督)などがある。近年では『青葉家のテーブル』(21/松本壮史監督)などに出演。
1992年生まれ。2011年より乃木坂46に1期生として加入。2021年7月まで同グループにて活動。CanCam などファッション誌でモデルとして活躍するほか、女優としては映画『東京ワイン会ピープル』(19/和田秀樹監督)で初主演を務めた。そのほか出演作に『あさひなぐ』(17/英勉監督)、『映画 賭ケグルイ』シリーズ(19、21/英勉監督)、ドラマ「プロミス・シンデレラ」(21/TBS)など活動の幅を多岐に広げている。
1988年生まれ、大阪府出身。ドラマ「放課後。」(04/CX)で女優デビュー。映画『放郷物語 THROES OUT MY HOMETOWN』(06/飯塚健監督) にて初主演を務め、『春との旅』(10/小林政広監督) では毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞と日本映画批評家大賞新人女優賞を受賞、ドラマ「恋のツキ」(18/TX)では主人公を熱演した。そのほか出演作に『フラガール』(06/李相日監督)、「わろてんか」(17/NHK)、「推しの王子様」(21/CX) がある。
1993年生まれ、神奈川県出身。ドラマ「クローン ベイビー」(10/TBS) で俳優デビュー後、映画、ドラマ、舞台にと幅広く活躍中。J-WAVE の「ALL GOOD FRIDAY」(毎週金曜11:30~16:00 生放送)にてラジオパーソナリティーも務めるなど、その才能を発揮している。自身が企画・出演する舞台「ともだちが来た」が、2021年10月27日(水) ~ 2021年11月7日(日)浅草・九劇にて公演予定のほか、主演映画『恋い焦れ歌え』が2022年春公開予定。
1985年生まれ。2009年、『蘇りの血』(豊田利晃監督)で映画初出演、11年にポツドール「おしまいのとき」で初舞台を踏む。以降、城山羊の会、ハイバイ、サンプルなど多数の舞台や映画・ドラマ・CM など幅広く活躍。ドラマ「坂の途中の家」(18/wowow)、「コールドケース3~真実の扉~」(21/wowow) 、映画『浅田家!』(20/中野量太監督)、『椿の庭』(21/上田義彦監督)、『すばらしき世界』(21/西川美和監督)などの作品に出演。
1980年生まれ。ドラマ「若者のすべて」(94/CX)でドラマデビュー。以降「僕と彼女と彼女の生きる道」(04/CX)、「コウノドリ」(15/TBS)、大河ドラマ「おんな城主 直虎」(17/NHK)などの話題作に多数出演。38歳の時に「ブラックスキャンダル」(YTV)で連続ドラマ初主演を務めると、以降立て続けに3本の主演ドラマに出演している。主な出演作品に、『人魚の眠る家』(18/堤幸彦監督)、『糸』(20/瀬々敬久監督)、『明日の食卓』(21/瀬々敬久監督)などがある。
1972年生まれ。92年吉本新喜劇入団。同年7月、心斎橋2丁目劇場で行われた吉本新喜劇若手公演で初舞台を踏む。その後数々のバラエティ番組に出演。00年にはシングル「ナンダカンダ」で歌手デビューし、同年「NHK 紅白歌合戦」(NHK)に初出場。自身主宰の音楽レーベル“SLENDERIE RECORD” を立ち上げ、音楽プロデューサーとしても活躍の幅を広げている。さらに舞台、映画、ドラマでも多くの作品に出演。『カーテンコール』(05/佐々部清監督)の演技で、第15回日本映画批評家大賞新人賞(南俊子賞)を受賞。主な出演映画には、『パッチギ! LOVE&PEACE』(07/井筒和幸監督)、『みをつくし料理帖』(20/角川春樹監督)などがある。
1960年生まれ。東宝50周年記念映画『海峡』(82/監督)でスクリーンデビュー。83年 美空ひばり新宿コマ20年連続出演記念舞台「ひばりミュージカル・水仙の詩」の相手役新人オーディションで抜擢される。「若大将天下ご免!」(87/EX)で、連続ドラマ初主演。「大江戸捜査網」(90/TX)でも主演を務め、時代劇には欠かせない存在となる。『ゴジラVSスペースゴジラ』(94/ 山下賢章監督)で映画初主演。00年から参加した舞台「細雪」では、17年に渡り雪子の縁談相手役・御牧を長年演じた。近年の主な出演作に、「ウルトラマンZ」(20/TX)、「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」(21/TBS)、『弥生、三月-君を愛した30年-』(20/遊川和彦監督)、『キャラクター』(21/永井聡監督)、『夏への扉 -キミのいる未来へ-』(21/三木孝浩監督) などがある。
10月13日生まれ、山梨県出身。82年早稲田大学在学中に、劇団「第三舞台」で初舞台を踏む。第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の審査員賞を受賞した『淵に立つ』(16/深田晃司監督)で毎日映画コンクール、高崎映画祭、ヨコハマ映画祭の主演女優賞三冠達成。第72回ロカルノ国際映画祭正式出品の主演作品『よこがお』(19/深田晃司監督)で令和元年度芸術選奨映画部門 文部科学大臣賞受賞。主な出演作に『クワイエットルームにようこそ』(07/松尾スズキ監督)、『アキレスと亀』(08/北野武監督)、『ヒーローショー』(10/井筒和幸監督)、『希望の国』(12/園子温監督)、『探偵はBAR にいる2 ススキノ大交差点』(13/橋本一監督)、『ニート・オブ・ザ・デッド』(15/南木顕生監督)、『かぐらめ』(15/奥秋泰男監督)、『jam』(18/SABU 監督)、『洗骨』(19/照屋年之監督)、『愛がなんだ』(19/今泉力哉監督)、『ひとよ』(19/白石和彌監督)、『影裏』(20/大友啓史監督)、『天外者』(20/田中光敏監督)など。今後も多数公開作品を控えている。
1991年生まれ、大阪府出身。2015年、若手映画作家育成プロジェクト(ndjc)に選出され、短編映画『父の結婚』を監督、脚本。2016年、小説「えん」がすばる文学賞を受賞し小説家デビュー。2017年、小説「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を発表。2019年、山戸結希企画・プロデュースのオムニバス映画『21世紀の女の子』で『セフレとセックスレス』を監督。また、『父の結婚』を自らリメイクした『おいしい家族』で長編監督デビュー。監督作として『君が世界のはじまり』(20)、ドラマ「深夜のダメ恋図鑑」(18/EX)、「カカフカカ」(19/ MBS)、演劇「夜だけがともだち」など映画、TV、舞台演出と幅広く活動中。また本作が自身の出産後初の監督作品でもある。
1967年生まれ。多摩美術大学卒業後に、博報堂に入社。制作局でCMプランナーやデザイナーの仕事に携わりながら執筆活動を続け、94年、「バスルーム寓話」で「ぶ~け」(集英社)新人長編部門第1席を受賞し漫画家デビュー。2000年に退職。「フィール・ヤング」(祥伝社)や「クッキー」(集英社)で活躍。作品はアメリカ、フランス、台湾などでも出版されている。イラストレーターのオカザキマリとしても活動。代表作は「サプリ」「渋谷区円山町」「& - アンド-」「阿・吽」など。現在「フィール・ヤング」にて「かしましめし」を連載中。
岡山県出身。2008年より映像脚本のキャリアをスタートさせる。朝の連続テレビ小説「マッサン」(14/NHK)では脚本協力とスピンオフドラマを担当。近年ではドラマ・アニメなどの原案・シリーズ構成を含め脚本を担当するなど活動の幅を広げている。主な担当作品は、TV ドラマ「コウノドリ」(15、17/TBS)、「だから私はメイクする」(20/TX)、「武士スタント逢坂くん!」(21/NTV)、映画では『映画 プリキュアドリームスターズ!』(17/宮本浩史監督)、『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』(18/李闘士男監督)、『ねことじいちゃん(19/岩合光昭監督)』など。
1976年生まれ、大阪府出身、大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。97年より叙情派シネマティック・ダブ・ユニット「あらかじめ決められた恋人たちへ」として活動開始。フジロック等、幾多の大型フェスに出演。映画の劇伴、トラックメーカー、コンポーザーとしても活動中。代表作に映画『味園ユニバース』(15/山下敦弘監督)、『モヒカン故郷に帰る』(16/沖田修一監督)、『無曲MUKOKU』(17/熊切和嘉監督)、『宮本から君へ』(19/真利子哲也監督)、『君が世界のはじまり』(20/ふくだももこ監督)、ヒプノシスマイク楽曲提供など。
新時代、天性の歌声と共に現れた新星、「にしな」。やさしくも儚く、中毒性のある声。どこか懐かしく、微睡む様に心地よいメロディーライン。無邪気にはしゃぎながら、繊細に紡がれる言葉のセンス。穏やかでありながら、内に潜んだ狂気を感じさせる彼女の音楽は、聴く人々を徹底的に魅了する。Spotifyがその年に注目する次世代アーティスト応援プログラム「RADAR:Early Noise2021」に選出。ゆっくりとマイペースにリスナーを虜にしてきた彼女の声と音楽が、静かに、そして、より積極的に世の中へと出会いを求めに動き出す。2021年最重要ニューカマー、「儚さと狂気」を内包する才能が、ここに現る。
日本映画大学卒業後、篠田昇、小林達比古らの撮影助手として『スワロウテイル』(96/岩井俊二監督)、『真夜中まで』(01/和田誠監督)などの映画に参加。映画『三年身籠る』(05/唯野未歩子監督)で撮影技師デビュー。以降『過激派オペラ』(16/江本純子監督)、『勝手にふるえてろ』(17/大九明子監督)、『私をくいとめて』(20/大九明子監督)など。
オムニバスドラマ「恋、した。」の「シンデレラは二度ベルを鳴らす」(97/TX) で照明技師としてデビュー。『でーれーガールズ』(15/大九明子監督)、『TOKYO デシベル』(16/辻仁成監督)、『美人が婚活してみたら』(19/大九明子監督)、『東京ワイン会ピープル』(19/和田秀樹監督)、『新卒ポモドーロ』(20/井上博貴監督)、『甘いお酒でうがい』(20/大九明子監督) などを担当。
林田裕至と共同美術を務めた『シン・ゴジラ』(16/庵野秀明監督)にて第40回日本アカデミー賞最優秀賞美術賞を受賞。代表作に『アンフェア the end』(15/佐藤嗣麻子監督)、『映画 賭ケグルイ』(19/英勉監督)、『ぐらんぶる』(20/英勉監督)、『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』(21/英勉監督)、『ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち』(21/飯塚健監督)、『東京リベンジャーズ』(21/英勉監督)などがある。
劇映画を主に矢口史靖、西川美和、山崎貴、タナダユキ監督などの諸作を編集。ふくだ監督とは今作で3作目。近年の映画作品に『すばらしき世界』(21/西川美和監督)、『NO CALL NO LIFE』(21/井樫彩監督)、『浜の朝日の嘘つきどもと』(21/タナダユキ監督)など。他にドキュメンタリーやCMも多数。
横浜生まれ、東京を拠点に活動。広告、MV、女優、タレント、アーティストなど多岐にわたって活躍するスタイリスト。モードからリアルクローズまでトレンドをおさえたスタイリングや、テーマに合わせて印象的なポイントを持たせるスタイリングが得意。ドラマのスタイリングや、ライブ衣装デザインも手掛け、近年では「獣になれない私たち」(18/NTV)、「私の家政夫ナギサさん」(20/TBS)などに参加。
東京生まれ。8年間のサロンワークを経験後、2007年から約2年半RIKA TANAKAに師事。2009年よりフリーランスとして独立。ヘアメイクを目指すきっかけであった映画の現場を中心に、単館系の作品に多数携わる。現在MV、CM、広告、カタログ等、幅広く活躍中。『セトウツミ』(16/大森立嗣監督)、『愛がなんだ』(19/今泉力哉監督)、『風の電話』(20/諏訪敦彦監督)などがある。
この作品は結婚できない女の話ではありません。結婚しないで生きていくと決めた女の話でもありません。30代。結婚しているとかいないとか、子供がいるいないで何かと判断をされることがありますが、それって本当に大切なことでしょうか? 結婚している女は幸せで、していない女は不幸せ?
自身も30代半ばに差し掛かり、このタイミングでお話をいただけたことに大きな意味を感じました。
主人公の本田まみ(36)に共感するところが多かったわけではありませんが、仕事がうまくいかないとき、ふと結婚を逃げ道として浮かべた過去は確かにあったなと振り返りました。
主演だからと気負うことなく自由に演じることができたのは、ふくだ監督はじめ現場の皆さんがつくってくださった温かで柔らかな空気感のおかげです。
自分にとっての幸せは何か。あらゆる雑音を排除し、前向きに考えるきっかけになれば幸いです。
最初に台本をいただいた時、登場人物たちがもっと性格が悪かったんですね。決定稿ではもう少しマイルドになっているんですけれど、でも根本的には変わってなくて。綺麗に飾られた姿でなく、女たちの本音の部分がこの映画で描かれていくわけですが、正直わたしは、そういう剥き出しになった部分というか、陰の部分に強く惹かれていました。私が演じた由紀乃という役は、主人公のまみや、美穂と対照的な存在に描かれています。全然キラキラなんかしてないし義務的に、いわゆる「女子」を保っている、というか。由紀乃って、なんだかバランスが悪くて、考え方も行動もいろんなところが極端で。そんなところが演じていて面白かったです。今回、監督をはじめ、スタッフもキャストも女性が多い現場でした。今思えば、過去に一度だけ乗ったことがある女性専用車両に流れてた空気になんだか似ていたなぁと。現場の空気もとっても穏やかで。女子校ってこういう感じなのかもな、もしかしたら、その感じってスクリーンにも表れているのかもしれません。
伸び伸びと、人に見せない女の裏側を演じることができました。その空気を楽しんでもらえたら嬉しいです。
原作の「ずっと独身でいるつもり?」はもちろん、おかざき真里先生が描かれる世界観が大好きだったので、この作品に携われることを知ったときは嬉しく思いました。
原作と映画の脚本は内容も異なっていて、私が演じる美穂は原作にはいないキャラクターです。いまの現代が上手に表現されているなというのが一番最初の印象でした。
私にとって美穂は身近とは言い難い世界の子で、どう演じていいのか悩みました。
ふくだ監督とお話ししたときに、「私は美穂のことを笑ったり馬鹿にしたくない。一人の女性がどうやって生きているかをきちんと描きたい。」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。
撮影中もずっと「美穂を生きてほしい。」と監督の指導があり、何度も何度も挑戦させていただいて、スタッフさんにたくさんアドバイスをいただきながら今私にできることを精一杯やらせて頂きました。
ふくだ監督とこの作品に出会って、私の中の何かが確実に変化しましたし、作品の中で生きている美穂もどんどん変わっていきます。観た人にとっても、今まで逃げていたことや避けていたことと向き合ったり新しい自分と出会えるきっかけになれる作品だと思います。私はいまこの時代に、この作品に出会えたことがとても幸せに感じますし、そしてこれから先もこの作品のことは忘れられないと思います。ぜひたくさんの方に観てほしいです!
「とあるインタビューで、30代に突入した直後「好きなタイプは?」という質問から「結婚は考えてますか?」と具体的な質問にあからさまに変わったことに私は衝撃を受けました。
どうして女性は、30代になると周囲から「結婚」の圧力をかけられるのだろう。そしてこれは、いつまで続くのだろう。初めて今作の脚本を読んだ時、そう感じたことを思い出しました。私が演じた彩佳は、きっと側からみると幸せに見えるし、本人も幸せであることを自覚しています。だけどやっぱり何かが足りなくて、寂しくて。演じる際はその何かを明確にはせず、物足りなさを抱えたままお芝居をしようと臨みました。ふくだ監督はそれを汲みとって、その中から希望を見出せるよう導いて演出してくださいました。とてもあたたかく、優しい現場でした。
様々な幸せのかたちを、この作品を通して感じていただけたら嬉しいです。
劇的に傷付く言葉を差し向けられることよりも、日常的に他人から浴びる言葉たちに真綿で首を絞められるような感覚になることの方が多いよな、と脚本を読んで思いました。僕が演じた公平という男は、イイヤツです。多趣味でノリが良くて自分で自分の楽しませ方を知っている陽気な人です。そんな公平から出る言葉たちは観てくださる人の目にどう映るだろうか。田中みな実さん演じるまみと向き合い、ふくだ監督に導いて頂きながら演じました。たくさんの人に観ていただけたら幸いです。
みんなズルくて、寂しくて、他人を羨んで、自分を好きになりたくて、必死で。
田中みな実さん演じる本田まみをはじめ、私は映画に出てくる女性たちが大好きです。
あなたにとってこの映画が“最高の女ともだち”のような存在になってくれたら嬉しいです。
映画は漫画とはかなり内容が違います。
けれど観た人の背中をそっと押すものでありますように。
観たあと少し元気が出ますように。
そして漫画にも、少し内容の違う原案のエッセイが存在します。
人に寄り添う真摯な文章を書く人の作品です。
これを機に、一人でも多くの方が雨宮まみさんの本を手に取りますように。
サバンナで生きる人たちのオアシスになりますように。
映画を観て、登場する女性たちの、嫌なことを言われても、賢く麗しく、笑って乗り越えていく姿に共感しました。何かを言われたときに、それに対して自分が思っていることをまっすぐ伝える正義もあるけど、戦い方はそれだけじゃない。もっとしたたかに、嘘をついてでもいいから、それを包み込んで花を咲かせたい……そう思って「儚く枯れ落ちる 刺のある花より密やかに 毒にまみれた春になりたい」という歌詞を書きました。エンドロールで曲が流れてきたときに、それまで自分が楽曲に対して感じていたものと、違う側面も感じる事ができ、世界が広がった様で嬉しかったです。